変わりつつある社会の兆候に、人の意識は…? かたはた智子の活動報告
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2005 年 11 月 19 日     カテゴリ:ジェンダーを考える
変わりつつある社会の兆候に、人の意識は…?

ふと思い出したのですが、私の大学の卒業論文は「母性本能」がテーマでした。
「一般的に母性本能と言われているものは、女性には生まれつき備わっている本能とされているが、そうではなく、むしろ学習によって獲得するものである」という仮説を立て、小学生から大学生の女子、妊娠中の女性を対象にかなり詳細なアンケート調査をしました。
その結果、女性には一律に母性本能といわれるものが備わっているわけではなく、むしろ学習や体験を通して「子どもが可愛い」という気持ちをもったり、子育ての手法を得ていくという、仮説を裏付けるデータとなりました。
手元に論文がないので、細かい分析までは忘れたのですが、出産間近の女性であっても、非常に母性本能尺度の低い人もいたように記憶しています。

自信満々の研究成果だったのに、卒論発表時の教官の講評はけんもほろろで、「母性本能は女性に備わっていることは当たり前。だからこそ、みんな自然に子育てをしている。その仮説自体が成り立たないし、調査自体の信憑性も低い」とのことでした。
また、就職時の面接でも必ずと言っていいほど卒論のテーマを聞かれましたが、面接の男性社員はたいがい首を傾げ、仮説を力説すればするほど引いていく相手が見えました。

「母性本能」はないという仮説は、私が独自に思いついたわけではなく、あの頃、すでにさまざまな視点からの疑問が呈されていました(社会的な事例として子育てがうまくできなくて悩んでいる女性の出現や、生物学的視点から単独で動物園で飼育されたサルは子育てができないという事例も挙げたような気がします)。

あれから17年経ち、今、「母性本能」という言葉をあまり耳にすることはありません。
むしろ、小さな子どもと接する経験や子育ての方法を学ぶ機会を持たないまま出産した女性が、戸惑い、悩み、苦しんでいる現象が非常に大きな社会問題になっています。
第一子を出産後2ヵ月で夫が転勤になり、見知らぬ土地で身近に友人のいない中での子育てだったにもかかわらず、子育てを苦痛に感じなかったのは、「母性本能なんてものは、ない」と気づいていたことも、大きな一因だったのかもしれないと思っています。

変わりつつある社会の兆しに敏感に反応し、意識を変えていくことは、自分自身が生き易くなると同時に、「困難を抱えている他者」を理解する大きな一助にもつながります。
新たな課題や新しい概念に対して、従来の思い込みで判断するのではなく、確かにある事象をどう捉えていくか、柔軟に考えられる気持ちを常に持っていたいと思います。


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