2006 年
2 月
9 日
カテゴリ:子どもたちのこと
社会全体が子どもを支えてくれていた時代
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2月3日(金)、東京経済大学で開催された「第1回東京経済大学・国分寺地域連携フォーラム」に行ってきました。 記念講演では、九里一平さん(前・竜の子プロダクション社長)のお話をうかがいました。その中で印象的だった話が、アニメ“みなしごハッチ”が誕生したきっかけでした。
1970年頃、九里さんには二つの心配があったそうです。 一つは、当時“カギっ子”といって、両親が働いているため、自分でカギを開けて家に入る子を指した言葉がありました。こんなふうに大人がどんどん忙しくなると、そのうち親子の対話がなくなり、親子断絶につながってしまうのではないかという不安。 もう一つは、授業や夏休み等の勉強の一環で、「昆虫採集」が行われていたこと。 国分寺の鷹の台近くのくぬぎ林で、昆虫に囲まれて過ごしていた九里さんは、子どもたちが平気で昆虫をピンで刺し殺すことに疑問を感じていたそうです。昆虫にもいろいろな宿命があって、生活があって、家族があって、厳しい自然の中で精一杯生きている。そういう世界があることを知れば、昆虫にピンを刺す手も止められるのではないか…、そんな思いで生み出されたのが、「昆虫物語 みなしごハッチ」だったのです。 また、親子断絶の危機感が根底にあったことから、主人公が母親を求めて苦難の旅を乗り越えていくという親子の情愛が大きなテーマになっています。
私は「みなしごハッチ」をリアルタイムで見た世代です。そして、第一回目を家族で見た後、思わず泣いてしまった5歳の晩のことを、今でも覚えています。自分以外のことで泣いたのは生まれて初めてで、母が、「あ、泣いてる。素晴らしい!」と拍手したことまで、覚えています。26年前のことです。 あのころ、心を込めて創られた数々のアニメは、当時の子どもたちの心の成長に大きな軌跡を残しました。 子どもたちをなんとかしたいという、熱い思いを持った大人がいた時代に育つことができ、あらためて自らの幸せを思いました。
一方で、今の子どもたちを取り巻く環境はどうでしょうか? 今の子どもたちは、企業戦略において重要な消費ターゲットとして位置づけられている存在です。テレビや雑誌などのメディアのみならず、おもちゃ屋など子ども向けの商業店舗、ファースト・フードはじめファミリー向けの飲食店による包囲網が敷かれ、 子どもの成長過程も、人間としての感情も全く無視して、自己利益のために都合よく子どもを操り、子どもを食い物にしようとする、社会全体の一大プロジェクトが繰り広げられているのです。 子どもたちの抱えているさまざまな課題を解決しようとするどころか、 むしろ社会全体でますます助長させている始末です。
九里一平さん、竜の子プロの皆さんにはあらためて感謝の念とともに、ぜひ、今の子どもたちのためにも、引き続き、心にしみいるようなアニメーションを生み出していただきたいと、心から思いました。
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